マイナス70度の世界 潟Tーモダイナミックシステムズ製
電気式の新型冷凍庫
初期投資・消費電力抑え
冷凍品の品質向上 はまなす財団が実証
機器・システム開発の潟Tーモダイナミックシステムズ(本社・札幌、井筒忠雄社長、電話011・727・8908)が開発した新型冷凍庫は電気式でマイナス70度の連続運転を実現財団北海運地域総振興機構(はまなす財団電話011・205・5011)の検証実験でも熱交換器冷却フィンへの着霜がほとんどなく、庫内温度が安定⇒消貨電力が従来型の半分程度冷解凍時の細胞破壊を防ぎ、水産物などを高品質解凍する性能を実証。井筒社長は 「品質を落とさず凍結でき、集中水掃け時の出荷調整もできる」など、水産業界への導入を提案している。
従来の冷凍庫は冷却時に熱交換冷却フィン霜が付徹し、冷凍能力が低下するとヒーターなどで加熱し、霜を溶かしてから運転する霜取り機能が起動。この際、庫内温度も一時的に上昇製品の表面温度も上がり冷凍焼け発生原因となる。
同社の開発した冷凍庫は着霜の原因となる熱交換器の量産蒸発温度と庫内温度を従来の10度以上から2度に低く抑えた設計でこうした問題を解消した。
庫内温度も安定、冷凍能力を最大限引き出すことで、冷媒ガスの凝縮圧力は従来よりより低圧力でも超低温度を実現センサーで常に圧力と温度を感知し、冷媒を最適な状態に調整、省エネ運転を確立した。
同財団が実施した検証試験では、実際にマイナス70度の状態で100時間の連続運転が可能で、100時間後も熱交換器冷却フィンにほとんど霜がついていない状態が確認された。
一方、冷凍時の品質劣化を防ぐには最大氷結晶生成帯(マイナス1度〜同5度の通過時間をいかに速くするか。通過時間が長ければ、氷の結晶が大きくなり、細胞を破壊、解凍時にうまみ成分を流失させ、品質を低下させる。
同財団が生マグロ厚さ6センチで実施した拭験では、新型冷凍庫の通過時間は4〜6分で、マイナス38度の従来型の10分の1.氷の結晶も微細で、解凍後のドリップが極小。品質に明確な差が認められた。
マイナス70度級は特殊設計、二元冷凍方式や液体窒素噴霜式などの高額分野となり中小の加工業者は導入が困難。同社は初期投資を従来の冷凍庫(庫内温度マイナス40度)とほぼ同額に抑え、消費電力も30〜50%減。フロン(R22、R404A)など各種冷媒が応用できる。
同財団では同社の装置で、「冷凍食材が生に近い状態に戻せ農水産物の付加価値が上がる」とし現状の流通ルートでのコストや品質面の向上、各産業、品目ごとの効果なども検証し、普及を支援していく考えだ。
マグロの冷凍後の電子顕微鏡写真、新冷媒システム(マイナス70度)は氷結晶だが、従来のシステム(マイナス38度)は水結晶も大きく、細胞などの破壊も見られる。
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